働く人の為のメンタルヘルス

ストレスから心身の不調へ至る過程(NIOSH Job-stress Model)

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この図はストレスから心身の不調へ至る過程をモデル化したものです。(NIOSH Job-stress Model)
一般に、職場はストレス(この場合、特に、ストレッサーまたはストレス要因と呼びます)に溢れているものです。
仕事の量・質、対人関係、求められる水準、期限、その他、様々なストレッサーが蔓延しています。
通常、人間には環境適応能力が備わっているので、個人差もありますが、多少のストレッサーには適応することができます。
しかし、職場のストレッサーがあまりにも甚大で個人の適応範囲を超えた時、耐えきれなくなった人体にはストレス反応が生じて、心理面、身体面、行動面などで不調を来します。さらに、もし、その状態を放置して悪化すれば、精神疾患等(疾病)の発症に繋がりかねません。
一方、同じストレッサーに曝されていたとしても、不調を来す人とそうならない人がいます。
それは、個人的因子によりストレス脆弱性に幅があるからです。
すなわち、性格、経験値や能力等の違いにより、ストレッサーに適応できるかどうかが異なるのです。
また、周囲からのサポート要因の有無も、ストレッサーに適応できるかどうかに大きく関わる因子です。
このホームページをご覧になっている皆さまも、是非、一度このモデルに自分をあてはめて置かれている状況を再認識してはいかがでしょうか。

うつ病の回復から復職過程のイメージ

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この図はうつ病の回復から復職への道のりをイメージ化したものです。
従来は、通院治療により図で示す「家庭内の生活で支障がない程度の社会適応レベル」までの回復をもって復職可能の判断を下すことが常識でした。
しかし、この状態で復職した結果、またすぐに再休職してしまったという経験を約50%の精神科医が経験しているという実態が明らかになりました(参考文献:五十嵐 良雄: 「精神科診療所におけるうつ病・うつ状態により休職されている方への復職支援」に関する実態調査. 日精診ジャーナル, 104-112, 2009.)。
このことの反省から、われわれ精神科医のコンセンサスは大きく変わり、「復職して、かつ再休職もしない程度の回復度とは、さらに高い社会適応を要する状態ではないか」と考えるに至りました。
そこで、図に示すような「職場で働くのに支障がない程度の社会適応レベル」という考え方が生まれ、復職可能かつ再発防止のための新たな判断基準が確立されるようになりました。
実は、「職場で働くのに支障がない程度の社会適応レベル」の見極めには、リワークプログラムはきわめて有効なのです。
なぜならば、リワークではそのプログラムにおいて出席、心理的安定、体調、業務遂行力、負荷をかけたときの耐性、疲労の回復、自己分析・再発予防策の取り組み、などがきちんと果たされているかを観察し、評価できるように作り込まれているからです。
そのことを理由に、われわれは、復職の可否判断に苦慮するケースや再発・再休業を繰り返しているケースでは、とくにリワークプログラムをお勧めするのです。

医学的に業務に復帰するのに問題がない程度に回復した労働者とは?

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厚生労働省では、メンタル不調で休業した労働者の復職可能要件をガイドラインで示しています(1.~8.)。
しかし、当クリニックでは「再発・再休業させないためのさらに高い目標」として、「9.内省・己を知る(不適応パターンに気付く)」及び「10.己の活かし方を知る(行動変容)」の2項目を追加した10項目を、復職可能(かつ再発防止)の基準として掲げてリワークに取り組んでいます。

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リワークプログラムが目指すものをあらためて図で示します。
リワークの場とは、病気で働けなくなった労働者が病状を回復させるとともに、①これまでのキャリア(仕事だけではなく、人生全般)を振り返り、②他の参加者との対話や意見交換通じて内省・自己分析を深め、かつ心理教育で再発予防策を身に付け、③新たなライフキャリア(人生設計)のもとに就労復帰する、ための場なのです。
メンタル不調で休業中の方には一人でも多く、このような場で有益かつ貴重な体験をして頂きたく考えております。